実家じまいで後悔した人の共通点と、後悔しない順番

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親が施設に入って、空き家になった実家。片付けようと思いながら、何度も見送ってきた。 そのことを「後悔している」と感じている方に、伝えたいことがあります。

後悔には 2種類あります。 「もっと早く動けばよかった」という後悔と、「急いで動きすぎた」という後悔です。 どちらも実際に起きていて、どちらも「順番を間違えた」ことから生まれています。

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目次

「後悔した」と語る人たちに共通すること

実家じまいに関わった人の話を整理すると、後悔の理由はほぼ3つに収まります。

  • 感情の準備なしに動いてしまった「業者に急かされて、気持ちの整理がつかないまま手放してしまった」という経験は珍しくありません。手続き上は何も問題がない。でも、「あの棚だけ残しておけばよかった」「もう一度だけ写真を撮りたかった」という気持ちが残る。実家じまいは不動産の処分であると同時に、親の人生の痕跡と別れるプロセスでもあります。
  • 家族間で「共通認識」がなかった「任せた」と言っていた兄が、いざ売却の話になると「なぜ相談しなかった」と言い出す。後から振り返ると、最初の段階で「方針を揃える場」を設けなかったことが原因になっていることが多い。会議を開く必要はありません。「どうしたいか」を全員が口にしている状態を作ることが、後のもめごとを防ぎます。
  • 「とりあえず保留」が長引いた「まだ親が生きているのに片付けるのは薄情かもしれない」——この感覚はごく自然で、責められるものではありません。ただ、空き家は時間が経つほど維持費がかかり、劣化が進み、選択肢が狭まっていきます。保留にすることも、ひとつの「選択」です。

「急いだ後悔」のパターン

後悔には「動きすぎた後悔」もあります。

物を捨てすぎた

遺品整理業者を入れて、一気に片付けた。作業そのものは助かった。でも後から、「あの写真アルバムはどこへ行ったか」「父の手紙が見つからない」と気づいた。

不要・必要の判断を急いでしまうと、後から取り戻せないものが出てきます。 実家の荷物は、一度に全部片付けようとする必要はありません。「今回は仏壇まわりだけ」という進め方でも、前に進んでいます。

業者を一社しか比べなかった

最初に連絡した業者にそのまま依頼した。後から調べると、別の方法のほうが自分の状況に合っていたかもしれない、と気づいた。

不動産の処分方法はひとつではありません。売却、賃貸、買取、寄付、解体して土地活用など、状況によって「向いている選択肢」は変わります。どの順番で進めるかを先に押さえておくと、選択肢を見落とさずに済みます。

相続の手続きを後回しにした

「売却はいつでもできる」と思っていたら、相続登記が済んでいなくて、売却手続きが止まった。

2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。施行前に相続した不動産についても、2027年3月31日までに申請しないと、10万円以下の過料の対象になる可能性があります

出典法務局 相続登記の申請義務化についてmoj.go.jp

「先送りした後悔」のパターン

「動かなかった後悔」も、同じくらいの重みで語られます。

親が元気なうちに話せなかった

親の施設入居後に実家に入ったら、「ここにある食器はあの人にあげたかった」「この土地は◯◯に使いたいと思っていた」という書き置きが出てきた。

元気なうちに「実家をどうしたいか」を聞いておけたら——と感じることは、ある方も多いと思います。ただ、それは今の自分を責める理由にはなりません。当時の状況、家族の関係、親との距離——聞ける環境ではなかった、という背景は、それぞれの家庭にあります。

今からできることもあります。

  • 書き置きや親の手帳を丁寧に読み返す
  • 当時の会話を家族で共有する
  • 写真や品物から親の意思の輪郭を辿る

手元にある情報から意思を推測して、決断の材料にすることは、今からでも始められます。

これから親と話せる状況にある方は、「片付けを手伝いたい」という言い方から入るだけでも、十分です。話すこと自体に、意味があります。

空き家のまま放置した年月

「いつか動こう」と思いながら5年が経っていた、という方が少なくありません。

空き家は、誰も住まなくなると想像以上に早く傷みます。雨漏り、シロアリ、カビ、外壁の剥落。

修繕費が膨らんでいき、売却価格が下がり、「手放すにも費用がかかる」状態になっていきます。

また、自治体によっては適切に管理されない空き家を「特定空家」に指定し、固定資産税の優遇が外れることもあります。「何もしないこと」には、静かにコストが積み上がっています。

兄弟の「温度差」をそのままにした

「どうせ任せた、と言うだろう」と思って相談しなかった。でも後から「なぜ一人で決めた」と責められた。

自分一人で抱え込むほど、後からもめやすくなります。最初から全員の合意を取ろうとしなくても、「今、こういう状況で、こんなことを考えている」と共有するだけで十分です。その一言が、後のトラブルを防ぎます。

後悔を減らす「順番」の考え方

具体的な手続きに入る前に、整えておくといい順番があります。

  1. 自分の気持ちを言葉にする「実家をどうしたいか」よりも先に、「自分はどう感じているか」を確かめる。罪悪感があるなら、それはどこから来ているか。迷いがあるなら、何と何の間で迷っているか。感情が整理されないまま手続きを進めると、後から「なぜあの時こうしてしまったのか」という後悔が残りやすい。日記でも、誰かとの会話でも、言葉にすることが近道です。
  2. 家族と方針を揃える全員が同じ方向を向く必要はありません。「それぞれがどう思っているか」を互いに知っている状態を作ることが目標です。「私はこう思っている。あなたはどう思う?」——それだけで、後のすれ違いがずいぶん減ります。
  3. 選択肢を並べる気持ちと方針が揃ったら、初めて「具体的にどうするか」の検討に入ります。売却、賃貸、買取、更地にして売る、相続放棄——どれが合っているかは、物件の状態、立地、家族の事情、資金状況によって変わります。「どれが正解か」を最初から探す必要はありません。

一人で抱え込まないために

専門家への相談は、決断を迫られる場ではない

「業者や専門家に相談すると、その場で決めさせられそう」という不安を持つ方は多い。

ただ、相談 ≠ 契約です。状況を話して選択肢を教えてもらうだけの段階から、相談は成立します。情報収集の場としても使えます。

信頼できる相談先かどうかを見極める一つの基準は、「話を聞く前から結論を出している」かどうかです。事情を聞く前に「売るのが一番です」「うちに任せてください」という相談先は、自分ではなく相手の都合で動いています。

「決めない」もひとつの選択肢

今すぐ動かなければならない理由がないなら、「まだ動かない」という選択もあります。

ただし、「先送りにもコストがある」という現実はあります。固定資産税、管理費、建物の劣化、相続登記の期限——これらは時間の経過とともに積み上がっていきます。

「動かないことのコスト」を把握した上で「今は動かない」と決めることと、何も考えずに先送りすることは、まったく違う。前者は、自分で選択しているということです。

よくある質問

親がまだ生きているうちに実家を片付け始めるのは、薄情なことでしょうか?

薄情ではありません。親が施設に入っていて実家が空き家になっているなら、管理・維持を続けること自体が親の資産を守る行為です。ただ、進め方は親に相談しながら決めるのが、後悔を減らす一番の方法です。「片付けを手伝いたい」という言い方から入ると、話が始めやすくなります。

兄弟が協力してくれない場合、どうすればいいですか?

「任せた」と言う兄弟に全員の合意を求めるのは難しいこともあります。まず、「こういう状況で、こんなことを考えている」という共有だけでも行うことが重要です。後から「なぜ相談しなかった」と言われないための記録(メール・LINE)を残しておくことも、実務的な自衛策になります。相続に関わる財産処分の場合は、法律上の手続きで全員の同意が必要な場面もあるため、遺産分割協議の進め方を確認しておくと安心です。

実家じまいは、いつまでに終わらせなければいけませんか?

法律上の期限としては、相続登記の義務化(2024年4月施行)があり、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。施行前に相続した不動産は2027年3月31日が期限です(法務局)。売却そのものに期限はありませんが、空き家の維持コストや建物の劣化を考えると、方針だけでも早めに整えておくことが後悔を減らします。

実家じまいにかかる費用と時間の目安はどれくらいですか?

費用は状況によって大きく異なります。不用品の片付け・遺品整理だけなら数十万円程度から、解体・売却・税金まで含めると数百万円規模になることもあります。維持を続ける場合も、固定資産税・管理費・修繕費等で年間50〜100万円規模がかかることがあります。時間は、相続登記から売却完了まで半年〜1年以上かかるケースが多く、家族間の調整に時間がかかることが、全体の期間をもっとも左右する要素です。

出典

  • 法務局「相続登記の申請義務化について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
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