空き家売却の税金と3000万円控除|2027年期限

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相続した空き家を売るとき、最も大きく手取りを左右するのが譲渡所得税と「3,000万円特別控除」です。この控除は売却益から最大3,000万円を差し引ける制度で、適用期限は2027年12月31日までの譲渡です。結論として、要件を満たすなら期限内に売り切ることで税額を大きく抑えられます。

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目次

空き家売却の税金とは|譲渡所得税の仕組み

空き家を売って利益(譲渡所得)が出ると、その利益に対して所得税・住民税・復興特別所得税がかかります。譲渡所得 (=不動産等の売却で生じる利益。所得税・住民税・復興特別所得税の課税対象) は、次の式で計算します。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除

取得費は、その不動産を買ったときの価格や建築費から、建物の減価償却分を差し引いた額です。相続した空き家では、購入時の契約書が見つからないことが多く、その場合は売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」で計算します。譲渡費用は仲介手数料や解体費などです。

売却益に対する税金は、売却の翌年に自分で確定申告して納めます。給与とは分けて計算する「分離課税」です。ここで3,000万円特別控除が使えるかどうかで、税額はゼロになる場合もあれば数百万円になる場合もあります。

課税されるのは「利益」であって「売却額」ではない

売却価格そのものに課税されるわけではありません。相続した空き家で概算取得費(売却価格の5%)を使うと、売却益が大きく出やすく、税負担も膨らみます。だからこそ3,000万円控除の適用可否が判断の分かれ目になります。

出典国税庁 タックスアンサー No.3306nta.go.jp

空き家売却の税率と税額の目安

譲渡所得の税率は、売った不動産の「所有期間」で2段階に分かれます。所有期間は、原則として売った年の1月1日時点で判定します。相続した空き家の場合、亡くなった方が取得した日を引き継いで計算します。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率

所有期間5年超なら「長期譲渡所得」で税率は約20%、5年以下なら「短期譲渡所得」で税率は約39%です。

  • 長期譲渡所得(5年超): 所得税15% + 住民税5% = 20.315%(復興特別所得税含む)
  • 短期譲渡所得(5年以下): 所得税30% + 住民税9% = 39.63%(復興特別所得税含む)

相続した空き家は、被相続人(亡くなった方)の取得時期を引き継ぐため、多くの場合は長期譲渡(約20%)に該当します。

出典国税庁 タックスアンサー No.3208nta.go.jp 出典国税庁 タックスアンサー No.3211nta.go.jp

税額の計算イメージ

たとえば売却価格2,000万円、取得費が不明で概算取得費100万円(売却価格の5%)、譲渡費用100万円のケースを考えます。

控除なしの場合、譲渡所得は2,000万円 -(100万円 + 100万円)=1,800万円。長期譲渡(20.315%)で約365万円の税額になります。

同じケースで3,000万円特別控除が使えると、譲渡所得は1,800万円 - 3,000万円 = ゼロ(マイナスは切り捨て)となり、税額はかかりません。この差が控除の大きさです。

3,000万円特別控除の要件と2027年期限

相続した空き家を売るときの中心になるのが「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円特別控除」です。適用できれば売却益から最大3,000万円を差し引けます。

適用期限は2027年12月31日まで

この特例の適用期限は、2027年12月31日までの譲渡に延長されています。期限内に引き渡しまで完了する必要があるため、査定・売却活動・契約・引き渡しの期間を逆算した動きが求められます。

出典国税庁 タックスアンサー No.3306nta.go.jp

主な適用要件

  • 亡くなった方が一人で居住していた家屋であること(相続直前に一人暮らし)
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続してから譲渡まで、貸付けや事業、居住に使っていないこと
  • 区分所有建物(分譲マンション)でないこと
  • 譲渡価格が1億円以下であること
  • 家屋を耐震改修して売るか、取り壊して更地で売ること

要件は細かく、一つ欠けても適用できません。該当しそうな場合は、売却前に所轄税務署または税理士へ確認するのが安全です。

2024年改正で変わった2点

2024年(令和6年)1月1日以後の譲渡から、次の2点が変わりました。

第一に、相続人が3人以上の場合、特別控除額が1人あたり3,000万円から2,000万円に減額されます。兄弟3人で共有相続して売る場合などは影響が出ます。

第二に、譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または家屋の取壊しが行われれば、譲渡時点で未改修・未解体の家屋でも特例の対象になります。売主が引き渡し前に解体しなくても、買主による改修・取壊しでも認められるようになった点が実務上大きな変更です。

出典国税庁 タックスアンサー No.3306nta.go.jp

相続人が3人以上のケースの控除額については、空き家3000万円控除が相続人3人以上で減額される仕組みで詳しく整理しています。

控除を使うメリットと注意点

3,000万円特別控除は税負担を大きく下げますが、使う際の注意点もあります。

控除を使うメリット

  • 売却益が3,000万円以下なら税額がゼロになる場合がある
  • 概算取得費で利益が大きく出る相続空き家ほど効果が大きい
  • 更地売却でも買主解体でも対象になり、売り方の選択肢が広がった

控除を使う際の注意点

  • 適用には確定申告が必須(税額ゼロでも申告しないと控除は受けられない)
  • 相続税の取得費加算 (=相続税の一部を売却時の取得費に加算できる特例。国税庁 No.3267) とは、どちらか一方の選択適用になる
  • 相続人3人以上では控除額が2,000万円に減る
  • 家屋の取壊しには解体費がかかり、更地にすると住宅用地特例 (=住宅が建つ土地の固定資産税課税標準を1/6等に減額する制度) が外れて固定資産税が上がる

解体して更地で持ち続けると翌年の固定資産税が上がるため、売却時期と解体タイミングをそろえる判断が要ります。

業者選びと税務の相談先

空き家売却では、不動産会社選びと税務の相談先を分けて考えると失敗が減ります。

免許確認と実績

依頼先の宅地建物取引業の免許番号を確認します。空き家や相続物件の売却実績があるか、譲渡税や3,000万円控除を理解しているかも重要です。根拠のない断定を行う業者や、決断を急がせる訴求を強調する業者は避けます。客観的な調査に基づかない優位性訴求にも注意します。

出典消費者庁 景品表示法caa.go.jp

複数社の査定を取る

売却価格は税額に直結します。1社だけの査定では相場感がつかめないため、複数社の査定を並べて比較します。一括査定を使えば、相続・空き家対応の会社を含めて一度に見積もりを取れます。

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税額は税理士、控除の可否は税務署へ

譲渡税の計算や、控除と取得費加算のどちらが有利かは、個別事情で変わります。金額が大きい場合は税理士に相談し、控除の適用可否は所轄税務署で確認するのが確実です。

空き家売却の進め方

税負担を含めて進める場合、次の順序が目安になります。

  1. 家屋の建築年と相続後の使用状況を確認し、控除の対象になりそうか当たりをつける
  2. 複数社に査定を依頼し、売却価格の相場を把握する
  3. 更地で売るか現況で売るか、解体費と控除要件を照らして決める
  4. 媒介契約を結び、売却活動を始める
  5. 2027年12月31日までの引き渡しを逆算してスケジュールを組む
  6. 売却の翌年、確定申告で3,000万円控除を適用する

相続登記 (=不動産の名義を相続人に変更する登記。2024年4月から義務化) が済んでいないと売却できません。名義変更が未了なら、売却活動と並行して進めます。相続登記の期限については相続登記の2027年期限と過料で確認できます。

出典政府広報オンライン 相続登記の申請義務化gov-online.go.jp

空き家売却でよくある失敗

  • 控除の期限(2027年末)を「契約日基準」と誤解し、引き渡しが年をまたいで適用外になる
  • 概算取得費で利益が大きく出ることを知らず、納税資金を準備していなかった
  • 解体を先行して更地で長く保有し、固定資産税が上がったうえ買主が付かなかった
  • 税額ゼロだからと確定申告をせず、控除が受けられなかった
  • 相続人3人以上なのに1人3,000万円で試算し、税額を過少に見積もっていた

相続した実家をどう売るかの全体像は相続した実家の売却の進め方で整理しています。売るか保有かで迷う段階なら、まず簡単な診断で方向性を確かめる方法もあります。

よくある質問

3,000万円特別控除はいつまで使えますか

2027年12月31日までの譲渡に適用されます。契約日ではなく引き渡し完了が期限内である必要があるため、売却活動の期間を逆算して動くのが安全です。適用可否は所轄税務署で確認してください。

相続人が3人いる場合、控除額はどうなりますか

2024年1月1日以後の譲渡から、相続人が3人以上の場合は特別控除額が1人あたり2,000万円に減額されます。共有で相続して売る場合は税額試算に影響します。

購入時の契約書がなく取得費がわかりません

取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費で計算します。相続空き家では売却益が大きく出やすいため、3,000万円控除の適用可否が特に重要になります。

更地にしてから売らないと控除は使えませんか

2024年改正で、譲渡の翌年2月15日までに買主が取壊しまたは耐震改修を行えば、現況のまま売っても対象になります。売主が先に解体する必要は必ずしもありません。

税額がゼロなら確定申告は不要ですか

控除で税額がゼロになる場合でも、確定申告をしないと控除は適用されません。売却の翌年に必ず申告してください。

まとめ

  • 空き家売却では譲渡所得税がかかり、相続空き家は概算取得費で利益が大きく出やすい
  • 3,000万円特別控除の適用可否が税額を大きく左右し、期限は2027年12月31日まで
  • 2024年改正で「相続人3人以上は控除減額」「買主解体でも対象」に変わった
  • 税額は税理士、控除の可否は税務署へ。売却価格は複数社の査定で比較する
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