相続不動産の売却|税金・手順・注意点を実額で解説

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相続した実家や土地を売るなら、まず結論からお伝えします。売却は「相続登記→媒介契約または買取→引き渡し→翌年の確定申告」という順で進み、要件を満たせば譲渡益から最大3,000万円を控除できます。相続登記は2027年3月31日が過去分の申請期限で、放置すると過料の対象になります。

売却か保有かで迷う会社勤めの方が、限られた時間で最短ルートを判断できるよう、税額の実額レンジと手順を中立にまとめました。

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目次

相続不動産の売却方法を比較する

相続した不動産を現金化する方法は、大きく「仲介(媒介)」「買取」「一括査定で比較」「保有して活用」の4つです。まず全体像を中立に並べます。

  • 仲介(媒介):不動産会社に買主を探してもらう。市場価格に近い金額を狙えるが、売れるまで数か月〜半年かかることがある。
  • 買取:不動産会社が直接買い取る。早く確実に現金化できるが、価格は仲介相場の6〜8割程度になりやすい。
  • 一括査定で比較:複数社に同時に査定を依頼し、価格とスピードを見比べてから決める。相場観をつかむ最初の一歩に向く。
  • 保有・活用:賃貸や駐車場にして持ち続ける。管理の手間と固定資産税が続くため、遠方や多忙な相続人には負担が大きい。

使い分けの目安

早く終わらせたい、遠方で管理できない、複数の相続人で早期に分割したい場合は買取が向きます。時間に余裕があり、少しでも高く売りたい場合は仲介です。どちらが得か判断がつかないうちは、まず複数社の査定額を並べて比較するのが現実的です。相場を知らないまま1社だけで決めると、価格の妥当性を検証できません。

自分の状況がどちらに近いか整理したい方は、3つの質問でわかる売却タイプ診断で目安をつかめます。

相続不動産の売却相場と費用

売却で手元に残る金額は「売却価格 −(諸費用 + 税金)」で決まります。項目ごとに実額の目安を見ていきます。

買取相場のレンジ

買取価格は、同じ物件を仲介で売った場合の想定価格のおよそ6〜8割が目安です。たとえば仲介で2,000万円が見込める戸建なら、買取では1,200万〜1,600万円前後になることが多いです。物件の立地・築年数・再建築の可否で幅が出ます。

仲介での費用

仲介で売却する場合、主な費用は仲介手数料です。宅地建物取引業法の上限は「売却価格×3% + 6万円 + 消費税」(売却価格400万円超の場合)です。2,000万円で売れたケースなら、手数料の上限は約72.6万円(税込)となります。ほかに登記費用、契約書の印紙代、必要に応じて測量費や解体費がかかります。

譲渡所得税と3,000万円控除

売却益(譲渡所得)には所得税・住民税がかかります。譲渡所得は次の式で計算します。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除

所有期間が相続日ではなく「被相続人が取得した日」から数えて5年超なら長期譲渡所得となり、税率は所得税15%・住民税5%(別途、復興特別所得税)です。

ここで重要なのが「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円特別控除」です。要件を満たせば、譲渡益から最大3,000万円を差し引けます。適用期限は2027年12月31日までの譲渡に延長されています。

ただし2024年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上の場合、控除額が1人あたり2,000万円に減額されます。相続人が複数いるケースの詳細は空き家3,000万円控除が相続人3人だと減額される話で整理しています。

出典国税庁 タックスアンサー No.3306nta.go.jp

なお2024年の改正で、譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または家屋の取壊しが行われれば、譲渡時点で未改修の家屋でも特例の対象になります。買主による改修・取壊しでも認められるようになりました。

出典国土交通省mlit.go.jp

取得費加算の特例

相続税を納めた方は、「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」も検討できます。相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却すると、支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を圧縮できます。この特例は空き家3,000万円控除とは併用できないため、どちらが有利かを試算する必要があります。

期間の目安

買取なら査定から現金化まで最短で2〜4週間ほど。仲介は買主が見つかるまで3〜6か月、引き渡しまで含めると半年前後を見込むのが現実的です。相続登記が未了だと売却手続きに入れないため、登記の準備期間も加算してください。

相続不動産の売却のメリット・デメリット

買取のメリット

  • 現金化が早く、売却時期が読める
  • 買主を探す期間が不要で、内覧対応もない
  • 契約不適合責任を免除する条件で取引できる場合があり、後の補修トラブルを避けやすい

買取のデメリット

  • 売却価格が仲介相場より下がりやすい
  • 業者ごとに提示額の差が大きく、比較しないと妥当性を判断できない

仲介のメリット

  • 市場価格に近い金額を狙える
  • 買主層が広く、条件の良い物件は高値がつきやすい

仲介のデメリット

  • 売れるまで時間が読みにくい
  • 内覧対応や価格交渉の手間がかかる
  • 売れ残ると値下げが必要になることがある

判断に迷ったときは、「時間」と「価格」のどちらを優先するかを先に決めると選びやすくなります。遠方の空き家で管理コストと固定資産税が重い場合、保有し続けるほど手残りが目減りする点も考慮してください。空き家にかかる税金は空き家の税金の全体像で確認できます。

相続不動産の売却の注意点と業者選び

相続不動産の売却は金額が大きく、業者選びが手残りを左右します。トラブルを避ける基本を押さえます。

免許確認と実績

不動産会社は宅地建物取引業の免許が必須です。免許番号は各社サイトや店頭で確認でき、国土交通省・都道府県の「宅地建物取引業者検索」で有効性を照合できます。相続案件や空き家の取扱い実績があるかも確認しましょう。

見積もり複数取得の重要性

査定額は1社だけでは妥当性を判断できません。最低でも3社の査定を取り、価格の根拠(成約事例・立地評価)を説明してもらうことが大切です。査定額が突出して高い会社は、契約後に値下げを求める場合があるため、根拠の中身を確認してください。

契約前チェックリスト

  • 免許番号と有効性を確認したか
  • 査定額の根拠を書面で説明してもらったか
  • 仲介手数料・諸費用の総額を提示してもらったか
  • 契約不適合責任の範囲を確認したか

なお、客観的な調査に基づかない優位性を訴求する業者や、根拠のない断定を行う業者決断を急がせる訴求を強調する業者には注意が必要です。景品表示法・宅地建物取引業法上、調査根拠のない優良性の表示は不当表示に該当し得ます。

出典消費者庁 景品表示法caa.go.jp

複数社の査定を効率よく集めたい場合は、一括査定を使うと相場観をつかみやすくなります。

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相続不動産の売却の進め方

相続発生から引き渡しまでの流れを、番号順に整理します。

  1. 事前準備:遺言・遺産分割協議書で誰が相続するかを確定する。権利証・登記事項証明書・固定資産税の納税通知書を集める。
  2. 相続登記:不動産の名義を相続人に変更する。登記が済んでいないと売却契約に進めない。詳しくは相続登記の期限と手続き(2027年問題)を参照。
  3. 業者選定・査定依頼:3社前後に査定を依頼し、価格とスピード、担当者の対応を比較する。
  4. 媒介契約または買取契約:仲介なら媒介契約を結び販売開始、買取なら条件を確認して売買契約へ。
  5. 契約〜引き渡し:買主と売買契約を締結し、決済・登記・引き渡しを行う。
  6. 確定申告:譲渡した年の翌年2月16日〜3月15日に確定申告する。3,000万円控除や取得費加算を使う場合は申告が必須。

相続不動産の売却でよくある失敗

  • 相続登記を後回しにする:2027年3月31日までに過去分の登記を申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。売却の直前に慌てて登記すると引き渡しが遅れます。
出典政府広報オンラインgov-online.go.jp
  • 1社だけで売却先を決める:査定額を比較しないと、提示額が妥当かを検証できません。
  • 控除の期限を逃す:空き家3,000万円控除は2027年12月31日までの譲渡が対象です。改修・取壊しの手続きにも期日があるため、逆算して動く必要があります。
  • 相続人の間で方針が固まらないまま進める:共有名義のまま放置すると、全員の同意が必要になり売却が停滞します。分割方針を先に決めておくことが大切です。
  • 相続税の申告を軽視する:遺産総額が「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」の基礎控除を超えると相続税がかかります。売却益の計算とは別に確認が必要です。
出典国税庁 タックスアンサー No.4152nta.go.jp

よくある質問

相続した不動産はいつまでに売却すればいいですか?

売却自体に法律上の期限はありません。ただし相続登記は過去分を2027年3月31日までに申請する義務があり、空き家3,000万円特別控除を使う場合は2027年12月31日までの譲渡が対象です。取得費加算の特例を使う場合は相続税の申告期限の翌日以後3年以内が期限となります。使う特例に応じて逆算して動くのが安全です。

相続登記をしないと売却できませんか?

はい。不動産の名義が被相続人のままでは売買契約を結べません。相続人への名義変更(相続登記)を済ませてから売却手続きに入ります。戸籍収集が間に合わない場合は相続人申告登記で義務を仮に履行できますが、売却には正式な相続登記が必要です。

3,000万円控除は誰でも受けられますか?

いいえ。被相続人の居住用財産(空き家)であること、一定の耐震基準や取壊しの要件を満たすことなど条件があります。相続人が3人以上の場合は2024年以降の譲渡で1人あたり2,000万円に減額されます。適用可否は個別の事情で変わるため、税務署や税理士に確認してください。

相続した不動産が売れなかった場合はどうすればいいですか?

仲介で売れ残る場合は、価格の見直し、買取への切り替え、賃貸活用などの選択肢があります。再建築不可や共有持分など事情のある物件は、専門的に扱う会社に相談すると出口が見つかることがあります。まず複数社に査定を依頼し、なぜ売れないのかを客観的に把握することが第一歩です。

売却益にかかる税金はいくらですか?

所有期間が5年超(被相続人の取得日から起算)なら長期譲渡所得で、税率は所得税15%・住民税5%(別途、復興特別所得税)です。譲渡所得は売却価格から取得費・譲渡費用・特別控除を差し引いて計算します。3,000万円控除や取得費加算を使えば税額を大きく圧縮できる場合があります。

まとめ

相続不動産の売却は「相続登記→査定比較→契約→引き渡し→翌年の確定申告」という順で進みます。時間を優先するなら買取、価格を優先するなら仲介が基本です。相続登記は2027年3月末、空き家3,000万円控除は2027年末が節目で、いずれも逆算して動くことが手残りを守ります。まず複数社の査定を並べ、相場と手順を把握するところが起点になります。

  • 判断に迷ったら、まず売却タイプの目安を確認する
  • 相続登記の期限を先に押さえる
  • 特例は併用可否と期限を試算してから選ぶ
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