一人の名義に、
まとめられる?

共有名義を一人の名義にまとめる方法は、4つあります。どれを選ぶかで、かかる税金が5倍変わります。
そして、順番を間違えると余計に払うことになる。ここがこの記事の要点です。
自分ひとりで名義を変えられる?
できません。持分を手放す側の協力が要ります。
- 相手の署名・押印・印鑑登録証明書が必要
- 協力が得られない場合は、共有物分割請求などの法的手続きへ
方法は何がある?税金はどう違う?
4つあります。登録免許税(名義を変える登記のときに、国に払う税金)は0.4%か2.0%です。
① 相続(遺産分割)
共有者が亡くなり、その持分を相続で引き継ぐ。
登録免許税
0.4%
② 売買
共有者の一人が、他の共有者の持分を買い取る。売った側に譲渡所得税がかかる場合あり。
登録免許税
2.0%
③ 贈与
持分を無償で譲り渡す。受け取った側に贈与税がかかる場合あり。
登録免許税
2.0%
④ 財産分与(離婚)
夫婦共有の不動産を、離婚時に一方の名義にする。
登録免許税
2.0%
税率は固定資産税評価額(市区町村が決める評価額。実際の売買価格より低いのが普通です)に対するものです。このほか、司法書士に依頼する場合の報酬がかかります(相続による名義変更で6〜10万円程度、贈与で5〜8万円程度。事務所により異なります)。
いちばん安く済ませるには?
相続なら「共有で登記する前」に決めることです。
ここで差がつく
「とりあえず法定相続分で共有名義にして、あとで整理しよう」——これがいちばん高くつきます。
登記が二重になり、2回目は売買や贈与の扱い(2.0%)になります。
遺産分割の段階で単独名義にすれば
登録免許税は0.4%。登記は1回で済みます。
いったん共有で登記してから移すと
2回目の移転は売買や贈与の扱いになり、税率2.0%。贈与なら贈与税もかかります。登録免許税も司法書士報酬も、二重に発生します。
最終的に一人の名義にする見込みがあるなら、最初から遺産分割協議でそう決めて登記する。これだけで数十万円の差が出ることがあります。
持分を放棄するのはどう?
できます。ただし、受け取る側に贈与税がかかることがあります。
持分の放棄は法律上可能です。放棄された持分は、他の共有者に移ります。
ここが落とし穴
放棄を受けた共有者に「みなし贈与(お金のやり取りがなくても、贈与を受けたとみなされること)」として贈与税が課される場合があります。
また、固定資産税や管理費の負担から逃れる目的だけの放棄は、他の共有者が受け取りを望まないと、実務上の処理が複雑になります。
「放棄すれば終わり」とは限りません。
放棄と贈与は似て見えますが、贈与は特定の相手への無償移転(相手の同意が必要)、放棄は権利の消滅(受け取り手を指定できない)という違いがあります。税務の扱いが変わるので、税理士に確認してください。
自分で登記できる?
できますが、司法書士に頼むのが一般的です。
- 共有名義の登記は「持分の書き方」「登記の目的の記載」など専門的な項目が多い
- 申請書の不備で法務局から補正を求められることが実際に多い
- 報酬の相場は相続で6〜10万円程度
方針が固まらないうちに、焦って名義を動かさないこと。
一人にまとめると決めているなら、遺産分割の段階でそう決める。それだけで、払う額が変わります。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.7191(登録免許税の税額表・相続0.4%/売買・贈与2.0%)/民法(e-Gov 法令検索)(255条 持分の放棄)